西武ライオンズ売却
東北楽天ゴールデンイーグルスのパシフィックリーグ参入が決まったのが11月2日だったが、プロ野球界の再編はこれで終わりではなく、まだまだ続いている。自主再建を断念して産業再生機構による支援を受けることになったダイエー本体が、福岡ダイエーホークスを売却することを検討しており、売却先としてソフトバンクの名前が挙がっている。そして、驚くニュースが出てきた。本日(2004年11月6日)の日本経済新聞の一面トップ記事によると、コクドが、その100%出資子会社である西武ライオンズを他企業に譲渡してプロ野球事業から撤退する方針を固めたとのことである。
コクドは西武鉄道グループの持株会社的な性格を持つ非上場企業。そして事業規模としてはコクドよりも大きい西武鉄道が東証一部に上場している。今夏の球界再編騒動と微妙にシンクロしながら起こったのが、この西武鉄道の有価証券報告書に虚偽記載があったのではないかという問題である。比較的小規模の非上場企業が、西武鉄道という上場企業を実質的に支配しているのはおかしいのではないかということは、もう何十年も前から言われてきている。が、具体的な問題として、複数の個人株主の所有とされていた西武鉄道株のかなりの数が、実質的にコクドが所有しているものであったことが今年10月に発覚した。これは、つまり親会社であるコクドによる所有比率を少なく見せようとするものであり、これが事実であると、長年、西武鉄道の有価証券報告書に嘘が含まれていたということになる。また、西武鉄道が上場廃止に追い込まれるという懸念から、株価が急落するという自体にもなっている。また、今年8月頃に、西武鉄道グループ自体がそのような状態を解消しようとして、それらのコクドが保有する西武鉄道株を複数の他企業に対して、一社当たり数十億円の規模で売却していたのだが、この売却がインサイダー取引にあたる(つまり、一方の当事者であるコクドは、株価に重大な影響を与えるような株主構成に関する未公表の事実を知りながら、株式取引を行なった)というさらなる問題が派生している。
西武グループの実質的オーナーだった堤義明氏は、これらの事件の責任を取ってグループの全役職を辞めたが、場合によっては何らかの刑事責任を今後追及される可能性もあると言える。読売ジャイアンツのオーナーであった渡辺恒雄氏も、明治大学の一場投手への現金供与事件の責任を取って球団オーナー職を辞任している。
元々は、この渡辺氏と堤氏が中心となって、プロ野球のチーム数を削減して一リーグ制に向かうというプランがあった。このプランが崩れ、混沌とした再編が行なわれている。楽天参入の決定で一応今年の動きは終わったと思ったのだが、全くそんなことはなかった。このような混迷の中で、中日ドラゴンズを相手に今年の日本シリーズを制した西武ライオンズを、コクドは、2005年3月までに他社に譲渡完了することを目指すそうである。
(c) 2004, bskklog.
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