ライブドアがニッポン放送株35%取得
ライブドアの堀江貴文社長が、2005年2月8日、東京都内で記者会見を行った。
それによるとライブドアの完全子会社であるライブドア・パートナーズが同日、東京証券取引所の売買システム「ToSTNeT-1」を用いた時間外取引によって、ニッポン放送の株式を買付けた。
同日の買付け株数は、ニッポン放送の発行済み株式総数の29.6%にあたる972万270株。また、先週までにライブドアが取得していたニッポン放送株式175万6760株とあわせると、ライブドアグループは、ニッポン放送の発行済み株式の35.0%にあたる1147万7030株を保有することになり、一気に大株主となった。
堀江氏は記者会見において、「市場で一般的に取引きされている株を買っただけで、取引相手を特定することはできない」としているが、まあ、普通に考えて、ニッポン放送程度の規模の会社の株が972万0270株も、「偶々」売りに出ていたと言うことは、非常に考えにくい。
ちなみに、ライブドアは、この買付けに要した700億円の資金は、私募転換社債の発行によって調達したとのこと。ライブドアの株価が上がると、株式への転換が進むため、社債の償還のための現金を用意する必要はなくなる。
また、堀江氏は、「35%も持っていると、株価が5%とか10%とか下がっただけで数十億円の損害になる。ニッポン放送の価値を上げざるを得ない。資本提携とは私はそういうものなんだと思っています。35%(の株式)を持って、我々はニッポン放送に賭けるんだ・・・」ということも語っている。
堀江氏の狙いは何なのか。
普通に考えて、本業のインターネットとの多少のシナジーはあるだろうが、AMラジオ局という「超オールドメディア」だけを手に入れたかったとは考えられない。
当然のことながら、フジサンケイグループ全体が何らかの形で視野に入っているはず。ニッポン放送よりも時価総額の多いフジテレビは実は現在はまだニッポン放送の「子会社」であるし、音楽などのコンテンツを保有しているポニーキャニオン(1955年の創立時の名称は、株式会社ニッポン放送事業社)も傘下にある。このあたりのメディア事業を手に入れて、事業の展開を図って行きたいのかもしれない(2000年にAOLとタイムワーナーが合併したときみたい)。
あるいは、親子のねじれ現象を解消する目的で、フジテレビが、親会社であるニッポン放送株のTOBを現在かけていることに絡んで、買付けたニッポン放送株を高値で売り抜けることを考えているのかもしれない。
あるいは、プロ野球の横浜ベイスターズの株式の30%程度(たぶん)をニッポン放送が保有していること、ヤクルトスワローズの株式の20%(たぶん)をフジテレビが保有していることと関係あるのかもしれない。まあ、野球チームのために700億円を投じることは考えにくいが。
ちなみに、フジテレビの広報担当者は「ライブドアから事前に相談はなかった。こちらは(ニッポン放送に対する)TOBを着々と進めている段階。株主にもいろいろな意見があるようなので、同社の動きを注視したい」とコメント。フジテレビの境政郎常務は「今朝出社してライブドアによるニッポン放送株の取得を初めて聞いた。事前の申し入れなどはなかった。ニッポン放送株の公開買い付け中に、いろんなことが起きる可能性は想定していた。」とのこと。
しかし、まあ、「たったの」700億円で、フジテレビを実質的に支配できるかもしれないと言うこと。それが、たまたまライブドアだったにすぎず、他者にも等しくそのチャンスはあったということ。資本の効率と言うことを考えていくと、このような案件は他にもまだまだ出てくる可能性があるのだろう。マネーゲームだけを追及するようになったら、それはちょっと面白くないが。
(c) 2005, zig zag road runner.
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Comments
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株式のかの字もわからなかった私ですが
今回のことをきっかけに株の勉強をもっと
していこうと思ってるくらいです。今後の動きに
注目ですね!
Posted by: 風 | Friday, February 11, 2005 16:50