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Sunday, February 20, 2005

ライブドア/ニッポン放送/フジテレビ 長期戦に

ライブドアによるニッポン放送買収の試みに関して、先週、以下の記事を書いた。
2005年02月09日:ライブドアがニッポン放送株35%取得
2005年02月10日:ライブドアのニッポン放送(JOLF)株取得(続報)

その後、堀江貴文氏が民放各局(但し、フジテレビを除く)のTV番組に出演するなどし、その戦略の一端を話している。

例えば、フジテレビの対抗策(TOB目標の変更)は既にライブドアの戦術には織り込み済みであるとか、ニッポン放送の増資を行なえばフジテレビの対抗策自体も有効性を持たなくなるとか、たとえニッポン放送の上場が廃止されてもニッポン放送株自体に価値がある(ニッポン放送が保有しているフジテレビやポニーキャニオンの株式など)ためライブドア側のリスクは限定的であるとか、そういったことを堀江氏は各番組で力説していた。

また、フジテレビ側に対する反撃の意図か、フジテレビ側についている大和証券SMBCがフジテレビのTOB発表前に鹿内家から割安で株式を購入したのがインサイダー取引にあたる可能性があるのではないかということも堀江氏は示唆していた。

先週、産業界、金融庁、あるいは自由民主党あたりから出てきた話としては、ライブドアがTOSTNET(トストネット)を使った時間外取引が脱法行為ではないかというもの。

つまり、ある会社の株式を所定の比率を超えて取得しようとするときには、その会社のすべての株主に売却の機会が平等に与えられるようにするために、TOBを行うか、市場内で取引をするか、どちらかでなければならないというルールがある。つまり、ライブドアの2月8日朝(一般の市場が開く前)のニッポン放送株式大量取得が、「市場内」の取引と言えるのかどうかが問題となっている。

このあたりは、現行法では「グレー」ということらしい。たとえ東証が「TOSTNETは市場内取引である」との立場をとっていたとしても、法律的観点からは、必ずしもそうとは言い切れないとのこと。私は専門家ではないのでこのあたりの理論は理解困難なところがあるのだが、
ふぉーりん・あとにーの憂鬱:ライブドアのニッポン放送株式は「違法」・・・だなんて、滅相もありません(1)
というブログ記事で、中山龍太郎(Ryutaro Nakayama)氏も書いておられる。

但し、法律家の専門的な判断がどうであれ、また、たとえ法の趣旨を考慮するにしても、今回ライブドアが「活用」した抜け穴の存在はM&A関係者の間では広く知られていたとの話もあり、そうであれば、今回のライブドアの行為自体を他企業の経営者や政府役人がどうこう非難するのは筋違いではないかと、私個人としては考える。非難する対象は、ライブドアの行為よりは、法や規制が未整備であった状況ではないか。ライブドアは、事前に金融庁に確認していたという情報もあるし。

産業界あるいは政界の一部から聞こえてくる声として、「経営者が築き上げてきた会社を、金の力で買ってしまうのはいかがなものか」というものがあるが、これもおかしい。そのようなことを言っている人は、会社を公開することの意味を、良く理解していないと思わざるを得ない。

典型例は、自民党の森前首相。森氏は、ライブドアがニッポン放送の筆頭株主になったことについて「若干疑問を感じる。カネさえあれば何でもいい、力ずくでやれるんだという考え方は日本の教育の成果かと疑問に思う」とコメントしたらしいが、問題の認識のしかたがおかしいし、言っていることが論理的ではない。これが政権政党に所属する国会議員の典型的な考え方だとしたら、彼らは経済オンチ以外の何ものでもない。立法府の怠慢がバレないようにする意図をもってあえて情緒的・非論理的なことを言っているなら別だけど。

公開会社は社会の資産であり、証券市場を介したダイナミックな所有移転は、会社の事業効率を最大化するための仕組みそのものであり、それが資本主義社会なのだから。

ただ、ライブドアの2月8日朝の行為が合法か違法かということと、ライブドアがこの勝負に勝つかどうかということは全くの別問題。

堀江氏は、放送とインターネットとの融合という事業ビジョンを主張するが、一般株主や「提携」を申し入れている先の会社の経営者に対する説明としては具体性に欠けるとも思える。

堀江氏が、TV等でしゃべりすぎるのも気になる。もし彼がこの件に本当に「人生を賭けている」ならば、「人生を賭けている」と公言することは足元を見られる材料になりはしないかと、他人事ながら気になったりもする。

現時点(2月20日の日曜)では、ライブドア側が保有するニッポン放送株式は39%あたり。一方のフジテレビは、TOBによる25%超の確保を「絶対に行いたい」と表明。あと、「村上ファンド」の出方は? 長期戦になってきているが、目が離せない。



企業買収防衛戦略
著者:武井一浩, 中山龍太郎,太田洋

堀江貴文のカンタン!儲かる会社のつくり方
著者:堀江貴文

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Step by Step for 2006
NOBI'S WEBLOG "SOME ONE LIKE YOU BRO!"
P’s MEMO
シロー・カザミの「野良ねこ戦法」ここにあり~~!
チラシの裏
アリーmyら部

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Comments

nobiです。
TBありがとうございました。
仰るとおりですね。僕も同感です。
違法行為かどうか?という問題は、今回の論調の中で、小さな事柄であると思います。
ありがとうございました。

Posted by: nobi | Monday, February 21, 2005 07:52

TBありがとうございました。
「人生を賭けている」
を真摯に訴えるにはどうすればいいのでしょうね。
取りあえずTVに出まくることは悪くないか
と思うのですが。

Posted by: phasegawa | Monday, February 21, 2005 11:24

nobiさん、phasegawaさん、コメントありがとうございました。

>「人生を賭けている」
>を真摯に訴えるにはどうすればいいのでしょうね。
>取りあえずTVに出まくることは悪くないか

私もやや言葉足らずでしたが、
TVに出て、事業ビジョンをより具体的に語ることによって支持を集めるならば良いけれど、
M&Aで勝負しているときに、「人生を賭けている」という言葉は不要であるし、戦略・戦術もカードとして持っていれば充分であって、手の内を一生懸命しゃべる必要もないのではないか、
というつもりで書きました。

Posted by: zig zag road runner | Monday, February 21, 2005 22:23

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