ミシュラン
それほどまだ広くは知られていないが、渡邉正裕氏の著書に少し注目している。
* 「これが働きたい会社だ 社員が教える企業ミシュラン」渡邉正裕・著
通常、企業内部の実態というものは外に出てこないものである。が、この本はあえて、企業側が書いてほしい内容ではなく、働く側の視点からの実態を伝えようとしている。
書かれている企業は、下記の通り、日本を代表する大企業ばかり。
トヨタ自動車/日産自動車/NEC/ソニー/キヤノン/松下電器産業/富士通/シャープ/三井物産/三菱商事/日本生命/東京海上火災保険/みずほ銀行/NHK/朝日新聞社/リクルート/全日空/アクセンチュア/野村総研/日本IBM/NTTドコモ/NTTデータ/サントリー
Amazon.co.jpのカスタマーレビューを見てみると、就職活動をしている学生が、この本を高く評価している。
上に続く第2作は、マスコミ関連企業ばかりを対象としている。
* 「これが本当のマスコミだ 社員が教える企業ミシュラン」渡邉正裕・著
書かれている企業は、フジテレビ/TBS/テレビ朝日/NHK/ニッポン放送/朝日新聞社/毎日新聞社/読売新聞社/産経新聞社/日本経済新聞社/講談社/新潮社/リクルート/電通/博報堂
渡邉氏は、これらの本の企画を出版社に持ち込んだが、なかなかスムーズには行かなかったとのこと。それは、内容的に悪かったというよりは、出版社が企業側に遠慮して出せなかったということらしい。
日本のメディアの閉鎖性である。
そこで、そういう経緯があったからなのか、渡邉正裕氏は現在、株式会社MyNewsJapanという会社が運営するMyNewsJapanというサイトを運営しておられる。
サイトに書いてある文言では、「MyNewsJapanでは、Newsの現場にいる誰もが発信者です。身近にある本当のNewsを多くの人に知らせてみませんか?」とのこと。
その中で、「ここで働け! 働く生活者のための企業ミシュラン」という企画がある。「会社員はしがらみだらけ。働く現場についての本当のことを教えてくれるのは、会社を辞めた人たちだけかもしれない。」とのことで、企業の広報を通さず従業員への直接取材にこだわっているとのこと。
この企画の評価すべき点は、企画意図が非常に明快な形でウェブ上で公開されていること。企業に対する評価基準も、仕事/生活/対価の3つの観点から明確に定義されている。そして、インタビュー全体像も明確で公表されている。非常にまじめな態度での取材といえるだろう。
(と思っていて、調べてみたら、渡邉正裕氏は、かつて日本経済新聞社に記者として3年半在籍した後、4年半の間は米国系コンサルティング会社に在籍しておられたとのこと。確かに、コンサルっぽい香りがしている。ついでに言うと、2004年の「MyNewsJapan」創業時には、「ジャーナリズムを『権力と反対側にいる人たちをクライアントとするコンサルティングビジネス』と考え、コンサルティングのノウハウをジャーナリズムに適用」したとのこと。どこまでもコンサルっぽい人である。)
もうひとつの特徴は、この「MyNewsJapan」が、会員から会費(月額固定料金)を得ることによって採算を取ろうとしている点。
インターネットで得られる情報は「無料」というのが半ば常識になってしまっているが、この「無料」というのは企業等からの何からの広告によって成立していることが多い。MyNewsJapanは、企業から広告収入をあえて得ないことによって「本当のこと」を報じようとしている。
まあ、考えてみれば、本当に価値のある情報というものはお金を払ってでもほしいものであり、だからこそ、世の中には1件数万円から数十万円の価格のついた情報が売られている。タイム・イズ・マネーであり、お金を払って情報を買うということは、膨大な労力と時間をかけることの回避策になる。
MyNewsJapnでは、一部記事は無料。会員になることによって、全ての記事、全ての拡大画像を、無制限に見ることができる。会員登録の料金は、月額1980円(消費税込、2005年5月29日現在)。考えようによっては非常に安い価格である。かなり実験的な試みであると思うが、注目したいと思う。
もしかしたら、従業員側・生活者側だけでなく、企業側にとっても(むしろその方が?)、この「MyNewsJapan」の情報は非常に役立つものになるかもしれない。
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