平成電電の民事再生法適用申請
通信ベンチャーの平成電電株式会社(東京都渋谷区広尾1-1-39 恵比寿プライムスクエアタワー19F; 代表取締役 佐藤賢治)が、2005年10月3日、民事再生法適用を申請した。事実上の経営破綻。
同社は2003年に「直収電話」と呼ばれる割安な固定電話事業に進出したが、計画した収益を獲得できず、資金繰りに行き詰った。
同社のサイトでは、10月3日付のニュースリリース(http://www.hdd.co.jp/news/news20051003_2.html)で、「多額の設備投資を実施したにもかかわらず、NTTからの回線切替手続きが極めて煩雑であったことや、他事業者の直収電話サービスへの参入や値下げによる競争環境の激化等により、計画していた契約数の増加を実現できず」と、収益低迷の理由が述べられている。
負債額は1200億円。主として設備投資に使われた資金。
この経営破綻において特徴的なことは、多額の設備投資資金を有する事業のために、多数の個人から資金を調達していたこと。同社代理人の弁護士は、「約1万9000人から計490億円を調達していた」と表明しているらしい。ひとりあたり数百万円出していることになる。
日本経済新聞などでも、頻繁にこの会社の広告を見かけた。通信事業の利用者を募る広告よりも、高利を謳い文句に資金を集める広告のほうが多く記憶に残っている。典型的な、ハイリスクハイリターンの香りのする広告だった。
普通に考えれば、公共的性格の強い大規模な事業を行なうためには、銀行からの融資や、株式発行によって資金を調達することが多いと思われるが、何故か、この会社は、個人からの直接調達の手段を選んだ。新聞広告や説明会の開催などにもそれなりのコストをかけていたと思われる。
平成電電側は、「スポンサーを得て再生に全力を尽くす」としている。また、一般投資家からの資金の取り扱いについては「スポンサーに委ねるので未定だ」と述べており、債権者との協議が難航する可能性もある。
個人投資家がこの会社に資金を提供したことは、ハイリターンを求めてのことであり、自己責任の原則からすると、特段の救済を受けるということは考えにくい。但し、平成電電側の資金の募集のしかたが全く適切であったかどうかは、議論の余地があるだろう。
なお、平成電電の経営破綻の影響で、ヘラクレス上場の2社(ドリームテクノロジーズとオープンループ)が、同じく10月3日、平成電電に対する債権が取り立て不能か取り立て遅延になる恐れがあると発表した。
© 2005, zig zag road runner.
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Comments
突然のトラックバックすみません。平成電電には本当にやられました。元社員です。。。不必要でしたら消去してもかまいませんので。
Posted by: ATSUSY | Tuesday, October 11, 2005 01:49