引き続き、World Baseball Classicの話題。
これこそ「棚からボタ餅」。メキシコのおかげで準決勝に進出することになった日本チームだが、イチロー選手のコメントが何かひっかかる。「同じ相手に3度も負けることは許されない」。って、その気負いが、日本チームの足を引っ張っているのではないのか?イチローの以前のイメージだと、あれこれ言葉で語るのではなく、バットで結果を出すという感じだったんだけど、何故か、このWBCでは言葉が先行。その言葉が、慣れてないせいか、薄いナショナリズムで包んだように、軽い。
大リーグ引退後の何らかの日本でのポジションを築くための下地作りのつもりでもあるのだろうか。今年放送されたTVドラマにも出たりするなど、誰かがイメージ戦略を描いているのかもしれないけど。
ところで、前回の記事「WBC:他力本願、メキシコのおかげ」に対して、ブログ「スポーツつれづれ観戦日記」からトラックバックをいただいた。
その記事「奇跡が起こった」に面白いことが書かれている。この記事によると、メキシコが2次リーグを2位で通過して準決勝にコマを進めるための条件は、2次リーグの米国戦において延長13回又は14回で3-0または4-0で勝利することだった、というのだ。こうなったときに限り、1勝2敗で並ぶ日本、米国、メキシコの中で、メキシコが守備率(失点を守備イニング数で除したもの)で他の2チームを上回っていたというのだ。
これが正しいとして、話を進める。このスポーツつれづれ観戦日記の著者は、メキシコが取り得た戦術として、「相手を必死で0点に抑えて、自分たちも点を取らないように気をつける」ことだったと書いておられる。
米国にとっては、メキシコ戦に勝てば文句なしで準決勝進出だったが、仮に点を取れずに8回裏が終了した(つまりそこまで両チーム無得点)とすると、ここでまた戦術としては、9回表に自チームは点を取らずに9回裏にメキシコに1点だけ取らせてサヨナラ負けをすると良いのだという。そうすると、勝敗で他チームと並んでも、守備率で米国が上回って準決勝に行ける(上の状況で米国が9回表に1点取ってしまうと、9回裏に2点取られてサヨナラ負けした場合には、日本が準決勝進出になってしまう)。
では、仮に、0-0のまま、9回裏のメキシコの攻撃を迎えたとしよう。米国はメキシコに1点取らせたい。米国は、何としても、サヨナラホームランで2点以上取られるという事態だけは避けなければならない。そこで、米国が取る最も確実と思われる作戦は、敬遠の四球を連発して押し出しでメキシコに点を取らせる。敬遠の四球が暴投になって走者が本塁に帰ってきても米国にとっては問題ないが、メキシコ打者がバットにボールを当てて柵越え、はさせてはならない。すると、投手は、バットが絶対に届かないようなところにボールを投げる必要がある。対するメキシコはどうか。1-0で勝ってしまうと、準決勝には行けない。13回の裏が訪れるまでは、点を取らない努力をしなくてはならない。メキシコ打者にはいくつかの選択がある。ひとつは、バットが届かないようなところにボールが来ても、それを空振りして三振してしまう。もうひとつは、四球を得ても1塁へ行かずにアウトになる。打者3人がこれを行なう。
と、まあ、非常に奇妙なベースボールが行なわれることになる。あくまでも仮定を前提としているが。
まあ、野球に限らず他のスポーツでも、リーグ戦形式で、勝敗以外の要素を順位決定に用いると、上記のような逆説的な状況が生じることは、現実問題としてある。現実に、起こっている。
というわけで、順位決定に守備率を使うのは考え直したほうが良いと思う。少なくとも、当該チーム間の得失点差か何かを使って(これもコールドゲームが絡んでくると微妙なのでコールドゲームなしにすべきだが)、守備率を使うのはもっと優先順を下げたほうが良いと思う。もし、第2回WBCが行なわれるなら・・・・・・
© 2006, zig zag road runner.
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