本日(2008年10月16日)の日本経済新聞・夕刊第1面に、福岡伸一氏のコラム「本が売れる理由」が掲載されている。
福岡伸一氏は、新書「生物と無生物のあいだ」の著者といえば、わかる方も多いだろう。彼が書いた「生物と無生物のあいだ」は、それより前に彼が書いた本の部数すべてを足した数の10倍よりも多くの部数が売れたとのこと(こういう表現は、理系の物書きらしい)。
で、なぜ売れたかを分析しているのだが、「本が売れる最大の理由は、その本が今売れているから」ということに気付いたとのこと。まあ、これはマーケティングの世界では当たり前のことなのでとりたてて言うほどのことはない。そして、そのサイクルを加速したのが「ブロガー」であるという点と、そのブロガーはアフィリエイトの仕組みによってインセンティブを有していると述べている。これも、目新しい話ではない。
私が興味を引かれたのは、福岡伸一氏が、アフィリエイト報酬に関して「報奨の率を聞いて愕然とした」という記載。はて、彼はどのように愕然としたのだろうか。疑問が沸いた。愕然としたというくらいだから、その率が高すぎると感じたのか低すぎると感じたのか、いずれかであろう。
どちらだろう? それが書いてないのだが。
仮に、彼が、報奨率が高すぎることに愕然としたとする。苦労して書いた筆者の率(本だと10%くらい?)に比べて単に紹介しているだけの人の率が高すぎると感じたのか? だとしたら、彼は、販売という行為の重要性を軽視しすぎである。
逆に、彼が、報奨率が低すぎることに愕然としたとする。ちょっと、考えにくいけど、たかだかそのような小さなインセンティブでよくやるものだと感じたのか? まあ、ブロガーは決してアフィリエイト収入を主目的としてブログを書いているわけではないが。まあ、確かに低いとは私も思うが、でも在庫も持たずに得られる収入としては妥当な線でもある。
というわけで、彼は、最新刊の著作「できそこないの男たち」のタイトルをさらりと紹介した上で、この新著が売れるか否かも、好循環の初期加速がつくかどうかが鍵であるという趣旨のことを述べて稿を結んでいる。
このコラム自体が、ブロガーたちが新著を取り上げることを狙っているという深い考えがあるのだとしたら、私もそれに乗ってみようと思う(ということで、この記事を書いた)。
「生物と無生物のあいだ」は面白かったし、文章も上手いので、新作にも期待しつつ。
福岡氏は、ドーキンスの著作の翻訳も行なっている。
© 2008, zig zag road runner.
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